デューディリジェンスの進行
Q 財務DDはどのように進めればいいでしょうか。
A 財務DDの実施プロセスの概略を示すと、以下のようになります。
- キックオフミーティング
- 予備的DD及びDD計画の策定
- 依頼資料リストの作成・送付
- DDの現場作業
- 調査報告書の作成
- 結果報告ミーティング
1.キックオフミーティング
各DDの担当者が集まり、すでに得ている情報の共有化を図るとともに、今後のDDの進め方について協議します。主な協議内容は、次の通りです。
- 2.M&A案件の概要把握
- M&Aのプロセスとスケジュール
- 各DDの作業分担
- 各DDのスケジュール
- DD範囲の確認
2.予備的DD及びDD計画の策定
キックオフミーティングで入手した情報及び公開情報をもとに、予備的DDを実施します。対象会社が上場会社の場合には、有価証券報告書等の公開情報を容易に入手することができますが、対象会社が非上場会社の場合には、決算情報等が公開されていないため、3.で送付する以来資料リストに先立ち、過去の決算報告書だけは事前に対象会社から入手することが必要です。予備的DDにより、調査範囲と調査手続を決定するとともに、各項目の重要性を考慮してDD計画を策定します。このDD計画には、調査項目、調査手続、予定調査時間、担当者情報を記載します。
3.依頼資料リストの作成・送付
2.で策定したDD計画に基づいて、DDを進めるにあたって必要となる資料の依頼リストを作成します。DDは限られた時間のなかで行われますので、先方の資料準備の時間を考慮し、早い段階での対象会社への資料の依頼が、スムーズに作業を進めるうえで重要になります。
4.DDの現場作業
実際の現場作業においては、定量的情報のみならず、内部統制を含む定性的情報の入手が重要になりますが、定性的情報の入手のためには、マネジメントインタビューを行うことが最も重要です。また、対象会社が公認会計士等による会計監査を受けている場合には、公認会計士等にインタビューを行い。監査上検出された問題点について情報を得ることもあります。
なお、他のDDの進行等により、新たな検出事項等が生じた場合には、随時計画を修正し、リスクの高いと思われる項目を重点的に調査するようにシフトし、常に効果的・効率的な調査を念頭に置くことが必要です。
5.調査報告書の作成
調査報告書の様式は、法律や規則により統一された様式はありませんが、一般には次のような構成となっています。
1.概況報告 ここでは、案件の背景と概況について記述します。具体的には、調査対象会社の概要や、調査目的、調査方法、調査範囲、調査資料等について記述し、調査範囲について制約等があった場合には、その旨も記述します。2.修正仕訳・組替仕訳一覧表及び修正貸借対照表3で記述する検出事項のうち、財務数値に影響を及ぼす事項について、貸借対照表に及ぼす影響額を一覧で記載します。 3.検出事項 財務DDの主目的である、M&Aの実行の可否、対価の算定、統合後の運営戦略立案において影響を及ぼす重要な事項を記述します。 一般的には、財務数値に直接影響を及ぼす事項か否かにより分類し、財務数値に直接影響を及ぼす事項については、損益計算書に関係するもの、貸借対照表に関係するもの、キャッシュフローに関係するものに分類して記述します。 なお、財務数値に直接影響を及ぼさない事項としては、内部統制上の不備等が挙げられます。 |
6.その他の参考情報
財務DDの過程で入手した情報の中で、検出事項でないものの、依頼者にとって利用可能な情報(たとえば、借入金の契約状況や担保設定の状況等)は、その他の参考情報として報告書に含めます。
7.結果報告ミーティング
5.で作成した調査報告書をもとに、依頼者へ結果報告を行います。
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