非上場株式の評価の注意点
Q 非上場株式を評価するうえでの注意点を教えてください。
A 上場会社の株式であれば、市場での取引価額が客観的な時価となりますが、非上場会社の株式の場合は、売り手又は買い手の立場から、あるいは、複数ある評価方法のなかから状況に応じて選択した評価方法により決まるものであり、唯一絶対の時価は存在しません。
上場会社の株式は、市場において日々売買され、企業を取り巻く経済環境や企業の収益力等により市場でその価格が掲載されるものであることから、売手や買手の立場を考慮することなく、客観的な価格形成が可能となります。
その一方で、株式会社のうち99.8%を占める非上場会社の株式は、通常、譲渡制限が付されており、流通性がなく日々の時価を知ることができません。
非上場会社の株式の評価には複数の算定方法が存在し、その取引価額(時価)の算定に当たっては、慎重に行わなければなりません。非上場会社の株価を算定する局面は、M&A、事業承継、相続、増資、ストックオプションの行使価格等さまざまであり、当事者も、支配株主や役員、少数株主である場合等があります。
非上場会社の株価は、目的や、売主又は買主の立場からも、さらには売買の時点によっても変わるものであり、唯一絶対的な取引価額(時価)というものはなく、相対取引のなかでお互いに同意する価額をもって時価とされます。その算定にあたっては、一方に有利に働くなどの恣意性を排除した、より合理的な算定方法によって評価しなければなりません。
たとえば、従業員持株会を通じて従業員がオーナーから自社株を購入する場合、少数株主である従業員にとっては、配当期待権や資本を有することによる会社への参画意識などが主たる目的でしょう。その一方でオーナーは、ほとんどの場合、会社支配のために所有しています。オーナーにとっては、自社株の保有比率の減少は、その保有比率の減少は、その会社への支配力の低下を意味することから、保有株数が重要な意味をもつことになります。
また、非上場会社の株式を評価するにしても、来年上場予定の会社と、上場を予定していない会社の株式では同じ非上場会社でも評価が変わるのではないでしょうか。
さらに、相続や贈与を目的としたものであれば、税法で明確に評価基準が定められています。
非上場会社の株式の取引価額(時価)は、このような諸般の事情を踏まえたうえで、可能な限り、客観的な評価額を算出する必要があります。
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