比準方式
評価対象会社と、上場会社のうち業種、規模等が類似する会社(類似会社)、または業種の平均の株価を比準して、対象会社の株価を算出する方式です。この方法は、評価対象会社が上場会社に匹敵する場合や、実際の取引事例が客観性をもつ場合には有力ですが、そうでない場合は、説得力に欠ける面を持っています。
この方法は、類似会社比準法と類似業種比準法があります。
1.類似会社比準法
類似会社比準法とは、上場会社のうち、評価対象会社に類似する業種、規模、収益、純資産等類似した会社の複数の比準要素を抽出し、それぞれの比準割合を計算し、これに類似会社の株価を乗じて評価を行う方式です。また、複数の類似会社を選定することでより客観性をもたせる必要があります。なお、非上場会社の企業評価であり、流動性に欠けることから、算出さえrた株価に対しては通常20%~30%程度のディスカウントを行うのが一般的です。この評価方法は、上場会社の株価を参考としているため、上場を目指している企業、あるいは上場直前の企業評価に用いられています。
類似会社がある場合や、上場直前の会社であれば確実性が乏しく、また類似会社の選定にあたっては恣意性の介入する余地があります。
1株当たり評価額=類似会社株価×(比準割合A+比準割合B+比準割合C)×1/3
比準割合A=評価会社の1株当たりの比準要素A÷類似会社の1株当たりの比準要素A
比準割合B=評価会社の1株当たりの比準要素B÷類似会社の1株当たりの比準要素B
比準割合C=評価会社の1株当たりの比準要素C÷類似会社の1株当たりの比準要素C
2.類似業種比準法
類似業種比準法とは、財産評価基本通達に規定されている評価方法であり、純資産、利益及び配当といった比準要素を、業種目別の平均値と比較して、類似業種の株価に乗じて算出する評価方法です。この方法は、相続、贈与があった場合の評価方法として用いられます。
この方法によれば、財産評価基本通達により評価するため客観性がありますが、国税庁が発出する「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等」については標本会社の公表がないことから、その妥当性について検証することができません。
1株当たり評価額=A×〔(B’/B+C’/C×3+D’/D)÷5〕×斟酌率
A・・・・・・類似業種株価
B’・・・・・・評価会社の直前期末1年間における1株当たり配当金額
B・・・・・・課税時期の属する年の類似業種の1株当たり配当金額
C’・・・・・・評価会社の直前期末1年間における1株当たり利益金額
C・・・・・・課税時期の属する年の類似業種の1株当たり利益金額
D’・・・・・・評価会社の直前期末における1株当たり帳簿純資産価額
D・・・・・・課税時期の属する年の類似業種の1株当たり帳簿純資産価額
(注)「斟酌率」は、大会社の場合は0.7、中会社の場合は0.6、小会社の場合は0.5になります。
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