類似会社比準法

Q 比準方式のうち、類似会社比準法(マーケットアプローチ方式)を採用する際の注意点を教えてください。

A 類似会社比準法(マーケットアプローチ方式)では、類似会社の選定が一番重要な手続となります。

1.事業の類似性

(1)類似会社の選定要素

選定要素

内   容

類似業種、類事業品

同じ業界団体あるいは同種の産業分野に属しているか
事業の成熟度 商品や製品、あるいはサービスにおいて算入障壁が高いかどうか

地域性

エリアの特性を生かした事業であれば、同条件の経済環境にあるかどうか
事業規模 売上高や総資産、従業員数などにおいて事業規模が同程度であるかどうか
事業戦略 M&Aを多用するなどの事業拡大戦略が似通っているかどうか
収益性・成長率等 付加価値や市場規模における成長性が類似しているかどうか

(2)類似会社の選定数

通常は3社から10社程度適当な類似会社が選定されます。類似会社が少ない場合には、類似会社比準法のみを採用するのは避けたほうがよいでしょう。

(3)倍率の算定に使用する財務数値の例

a. 1株当たり収益指標・・・・・・・税引後利益、税引前利払前利益(EBIT)、償却前利払前税引前利益(EBITDA)、売上高

b.1株当たり純資産・・・・・・簿価純資産、時価純資産

c.1株当たり配当額

比較のための財務数値は、非経常損益項目の控除、あるいは会計基準の違いを考慮して修正を加える必要があります。また、計算対象期間も、単年度か、あるいは数年間の平均値かも決める必要があります。

  • PER(Price Earning Ratio)……基準日の類似会社の株式時価総額を類似会社の利益指標で割って倍率を求める方法。実務上では、税引後利益が一番多く用いられています。また、純利益を前期実績で用いるか予想利益を用いるかによって、前期実績PERと予想PERがあります。実務では予想PERを用いることが多いようです。
    PER=株価時価総額÷税引後当期純利益
      =1株当たり株価÷1株当たり当期純利益
  • PBR(Price Book-value Ratio)……基準日の類似会社の株価時価総額を類似会社の純資産で割って倍率を求める方法。簿価純資産が通常よく使用されます。
    PBR=株式時価総額÷簿価純資産
       =1株当たり株価÷1株当たり簿価純資産

2.ディスカウント

評価にあたっては、非上場会社の株式の流動性を勘案し、非流動性ディスカウントを考慮します。なお、非上場であっても株式上場を全く予定していない会社と、上場準備中の会社では事情が異なりますし、上場準備中の会社でもアーリーステージの会社もあれば株式上場直前に差し掛かっている会社もあり、それぞれ非流動性ディスカウントの率も異なります。また、大規模会社と小規模会社を比較して、小規模会社は事業の安定性が低いなどの理由から小規模ディスカウントを考慮することもあります。

これらのディスカウントをどの程度の率とするかは、一般的に利用でる実証データーを求めることが難しく、一概にいえません。しかし、企業価値においては、これらのディスカウントを考慮に入れる日強具ああります。

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